革の中にも色々な種類がありますが、そのなかでも特に高い人気を誇るのがヌメ革です。
経年変化があらわれやすく、革を育てる実感が得やすいという特徴が魅力的ですよね。
そんなヌメ革には、「日光浴」というヌメ革ならではの手入れ方法があります。そこで、ヌメ革を日光浴させるメリットやその注意点などを紹介します。
そもそもヌメ革とはどんな革?
レザー好きの間でも人気の高いヌメ革ですが、そもそもどんな特徴をもっているのでしょうか?
ヌメ革の特徴からみていきましょう!
ヌメ革の特徴とは
ヌメ革というのは、クヌギやウォルナットなどの木から抽出された植物由来のタンニンを使って鞣された革のことを指します。そのため、『タンニンなめし革』と呼ばれることもあります。
ヌメ革は生産するのにそれなりの手間がかかってしまうため、大量に量産するのに向いていません。
市場でも約10%程度くらいしか流通していない、貴重な革として扱われています。そのため、価格もクロムなめし革に比べるとやや高くなります。
なぜヌメ革は人気?
価格が高いのにヌメ革が人気な理由は、なんといっても「革のエイジングを楽しみたい」という人が多いからだと思います。
ヌメ革は使い続けていくうちにしっとりと肌に馴染むような手触りになり、美しい艶が生まれてきます。もちろん、普段の使い方や手入れの仕方次第では色合いや風合いも変わります。
いわゆる『使い込んだ味のある雰囲気』にしていきたいのであれば、やはりクロム鞣し革よりもタンニン鞣しのヌメ革がベストといえるでしょう。
そして、少しでも早くエイジングを進めるのに欠かせないのが「日光浴」なのです。
ヌメ革を日光浴させるメリットとは
ヌメ革以外の革ではしない「日光浴」。
ヌメ革ならではの手入れ方法ですが、日光浴することで、次のようなメリットがあります。
色ムラが目立ちにくくなる
ヌメ革は、タンニンが紫外線に反応して変色するため、特別日光浴をさせなくても日常的に使っていく内に自然と色が変わっていきます。
しかし何もしないまま使い続けていると、陽に当たりやすい部分とそうでない部分、触れる頻度が高い部分とそうでない部分とで色ムラが生じてしまうことがあります。
その点、使い始めてすぐの段階で日光浴である程度日焼けさせておけば、そういった色ムラが目立ちにくくなります。
ヌメ革は使い始めてすぐの1ヶ月ほどはとくに激しい色の変化が起こるものです。
日光浴をさせるのであれば、おろしてすぐの段階でおこなうのがおすすめです!
汚れ防止になる
ヌメ革に適切な日光浴を行うと、革に含まれる油分が表面に少しずつ滲み出てきます。
その油分が保護膜となり、汚れや水気から守ってくれるようになります。
とくに生成りや薄い茶色のヌメ革はかたく、傷や汚れが目立ちやすいものです。
日光浴をさせることでエイジングも早まりますし、よりスピーディに肌なじみの良い革質へと変化させられます。
あとあとのメンテナンスも楽になりますよ!
ヌメ革を日光浴させる際の注意点は?
次に、ヌメ革を日光浴させる際の注意点について紹介します。
日光浴に失敗すると元に戻せないので、注意しておこなってくださいね。
日光浴させるときは自己責任でお願いします、、!
ブラッシングをして軽く汚れを落としておく
革に汚れが付着したまま日光浴をさせると、その部分にだけ陽が当たらず色ムラが生じてしまいます。
まだら模様にならないようにするためにも、日光浴をさせる前には、まず専用のブラシで表面の汚れを落としておきましょう。
おすすめはコロニルの馬毛ブラシです。
革靴用のシューズブラシとの併用は、靴用クリームが付着してしまう可能性もあるので避けるほうがよいでしょう。
ヌメ革製品専用のブラシを1つ用意しておくのがおすすめです。
外せるパーツは外す
金具などが革部分にかぶさると、その部分だけ日焼けせずに色ムラが生じてしまいます。
キーリングやチェーン、ナスカンタイプのバッグ紐など、取外し可能なパーツは日光浴前に外しておきましょう。
周囲に障害物がない場所で
周りに障害物がある場所だと、時間の経過により影がかかってしまう可能性があります。
ヌメ革は紫外線を吸収しやすいので、陽に当たっている所と当たっていない所で焼けムラができてしまうのです。
一度日焼けしてしまった革はもう元の状態に戻すことができません。そのため、直射日光が当たらず、なおかつ風通しの良い場所を選びましょう。
日向に置くよりも、日陰で時間をかける方がおすすめです!
ヌメ革を日光浴させる手順を紹介
ヌメ革を日光浴させる手順を紹介します。
日光浴の方法は人によって異なり、ここで紹介する方法が必ずしも正解とは限りません。
いろんなサイトを参考にして、「この方法よさそう」と思うやり方を見つけてみてくださいね。
乾燥予防にクリームを塗っておく
日光浴で最も避けたいのが革をカラカラに干からびさせてしまうということです。
ヌメ革は乾燥し過ぎると、パリパリになってしまい、ひび割れしてしまいます。こうなると革のしなやかさも無くなり、風合いを楽しむどころではありません。
日光浴前にブラッシングをして表面の汚れを落とし、乾燥を防ぐために革用のクリームやオイルを塗っておきましょう。
クリームやオイルは革用であればお好みのもので構いませんが、おすすめはニートフットオイルです。
ニートフットオイルは日焼けの速度が上がるだけでなく、革のツヤ出し効果もありますよ。
先にオイルを染み込ませた後でクリームを塗ると、油分がしっかり閉じ込められて滑らかさがアップします。
ちなみに個人的におすすめのクリームは「シュプリームクリーム」です。
ただし、クリームを塗り過ぎてしまうと、革がふにゃふにゃになってしまうこともあるので注意してくださいね。
革用クリームは伸びがいいので、指で少量ずつ塗り込んでいくと、量の調節がしやすくなりますよ。
もし塗り過ぎた場合は、乾いた布で優しく拭き取っておきましょう。
ニートフットオイルやシュプリームクリームには革に栄養を与えたり、傷や汚れから守ってくれたりする効果もあります。
効果はそれぞれ異なるので、どの程度日光浴でエイジングさせたいかによって使い分けるのもおすすめです。
ニートフットオイルは日焼けしやすいので、クリームに比べて早く色が濃くなります!
方向や向きを変えながらまんべんなく日光浴させる
財布やブックカバーのように折りたたまれている革製品は、開いた状態で日光浴させましょう。
様子を見ながら裏返し、表裏まんべんなく日に当てていきます。カバンのように立体的なものは、角度を変えながらじっくり陽にあてましょう。
日光浴による色の変化は、季節や時間帯によっても全然違ってきます。
たとえば真夏の炎天下のもとだと、あっという間に変色しますが、冬場の曇りの日だとある程度時間がかかります。
早くエイジングしたいからといって、ガンガン直射日光に当てると、失敗するリスクがぐんと上がってしまいます。
ヌメ革の日光浴は日陰や室内でも可能なので、急がず、日にちをかけながらおこなうのがベストです。
防水スプレーを併用させるのもおすすめ
ヌメ革というのは、水気に弱いものです。何の対策もしていない状態で水がかかると、その部分だけ染みて変色してしまうこともあります。
急に雨が降って濡れてしまうこともあれば、うっかり飲み物をこぼしてしまうこともありますよね。
あらかじめ防水スプレーを使用しておけば、多少の水がかかっても色シミになるのを防いでくれます。
また、バッグの持ち手や財布のように普段手に触れる機会が多い箇所はどうしても汗や皮脂によって汚れやすくなっています。
防水スプレーは、こういった汚れ防止にもある程度の効果を発揮してくれます。
革に非対応の防水スプレーを使うと、吹き付けただけでシミになってしまうものもあるので、必ず革製品に使用できるものかどうか確認しておきましょう。
個人的に気に入っているのはコロニルの防水スプレーです。
コロニルの防水スプレーは、いろんな革に使えて粒子も細かく、バリアをしっかり張ってくれるのでおすすめです。
防水スプレーをまんべんなく吹き付けた後は、風通しの良い日陰でしっかり乾かしてから使うようにしましょう。
ヌメ革を日光浴しない手はない!そのメリットや注意点は?まとめ
日光浴をさせたヌメ革は手入れが楽になるとはいえ、まったく手入れ不要というわけではありません。
革独自の素晴らしい風合いに仕上げていくためには、やはり定期的なメンテナンスが必要です。
基本的な手入れはブラッシング、オイルやクリームの塗布、そして乾拭きとなります。
大切なヌメ革の経年変化が感じられるようになると、より一層愛着も湧いてきますよ。
大切な革製品を日光浴させる際には是非、参考にしてみてくださいね。
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